税理士への依頼を検討する際、まず行うのが「初回相談」です。多くの税理士事務所では、初回相談を無料または低価格で提供していますが、「何を聞けばいいかわからない」という方も多いのではないでしょうか?
初回相談は、単に質問に答えてもらう場ではなく、「この税理士に任せてよいか?」を見極めるための面談でもあります。この記事では、相談前に整理しておくべき心構えと、聞いておくべき「5つの質問」を紹介します。
初回相談の目的とは?
税理士に初めて相談する際、目的をあらかじめ明確にしておくことが重要です。以下のようなニーズが多く見られます。
- 節税のアドバイスがほしい
- 確定申告や決算を依頼したい
- 顧問契約を検討している
- 法人化のタイミングを相談したい
- 税務調査に備えたい
とはいえ、相談の本当の目的は「相性チェック」にあります。
どれだけ知識があっても、対応が冷たかったり話が合わなければ、長期的な信頼関係は築けません。初回相談で「質問力」を発揮することが、良い税理士と出会うための第一歩となります。
聞くべき5つの質問とその意図
質問①:「私の業種・規模に詳しい経験はありますか?」
なぜ聞くべきか?
税理士にも得意・不得意の分野があります。例えば、IT系フリーランス、飲食店、美容業、スタートアップなど、それぞれで必要な知識や申告のポイントは異なります。
チェックポイント
- 過去にどれくらい同じ業種を担当してきたか
- その業種特有の税務課題について具体的に説明できるか
- 実績をもとにアドバイスしてくれるか
聞き方例
「私は小規模なネット通販を運営していますが、同じような業種のお客様を担当された経験はありますか?」
質問②:「節税対策はどのような提案をしてくれますか?」
なぜ聞くべきか?
節税は税理士に依頼する大きな動機の一つです。経験豊富な税理士であれば、会社や事業者の状況に応じて、合法的な節税策を複数提示してくれます。
チェックポイント
- 提案の具体性があるか(例:家族を給与に入れる、設備投資のタイミングなど)
- 短期的だけでなく中長期の視点でも節税を考えてくれるか
- 「脱税」に近い危険な提案をしてこないか
聞き方例
「私のような売上規模だと、どのような節税策が考えられるでしょうか?」
質問③:「税務調査に強いですか?過去に対応経験は?」
なぜ聞くべきか?
税務調査はいつ誰に入ってもおかしくありません。いざという時に守ってくれる税理士かどうかを、事前に確認しておくと安心です。
チェックポイント
- 税務署とのやり取りに慣れているか
- 調査前のアドバイスや立ち会い対応が可能か
- 実際に調査が入った場合、顧客をどのようにサポートしたかの実例があるか
聞き方例
「万が一税務調査が入った場合、どういう流れでサポートしてもらえるのでしょうか?」
質問④:「対応は税理士本人ですか?スタッフとの役割分担は?」
なぜ聞くべきか?
税理士事務所には、代表税理士のほかに複数のスタッフ(無資格・有資格)がいる場合もあります。契約後に「最初だけ税理士本人、あとは事務員対応だった」となるケースもあるため、実際に誰が担当になるかは重要な確認ポイントです。
チェックポイント
- 自分の担当が誰になるのか明確にされているか
- 担当者の連絡体制やレスポンスの早さ
- 税理士本人との面談頻度(年1回、毎月など)
聞き方例
「契約後は、私の担当はどなたになりますか?また、税理士本人に直接相談できるタイミングはありますか?」
質問⑤:「料金体系はどうなっていますか?追加費用の発生条件は?」
なぜ聞くべきか?
料金の不透明さは、税理士とのトラブルで最も多い要因の一つです。初回相談の段階で「どこまでが基本料金か」「どんなときに追加費用が発生するのか」を明確にしておきましょう。
チェックポイント
- 顧問料・申告料などの内訳が明示されているか
- 「月次処理のみ」「年1申告のみ」など柔軟な契約が可能か
- 追加料金が発生する具体例(税務調査対応・書類作成など)を説明してくれるか
聞き方例
「見積もりに含まれるサービス範囲を教えてください。また、追加料金が発生するのはどんな場合ですか?」
相談後にチェックすべきポイント
質問に答えてもらったあと、次のような点にも注目しましょう。
- 話しやすい雰囲気だったか
- 説明がわかりやすく、専門用語を避けてくれたか
- 自分の話をしっかり聞いてくれたか
- 押し売り感がなかったか
- メールや電話のレスポンスが早いか
「安心して相談できるかどうか」が、最終的な判断材料になります。価格や実績も大切ですが、継続的な信頼関係を築けるかを重視しましょう。
まとめ:質問は遠慮せず、むしろ歓迎される
税理士との初回相談では、「詳しくないのにいろいろ聞いてもいいのかな…」と遠慮してしまう方も多いですが、むしろ逆です。
良い税理士ほど、しっかり質問をする依頼者を歓迎し、納得できるまで丁寧に説明してくれるものです。
今回紹介した「聞くべき5つの質問」は、相性の良い税理士を見極めるうえで非常に効果的です。
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