会社経営や個人事業を行ううえで、税理士は非常に重要なパートナーです。日々の会計業務から、節税対策、確定申告、税務調査への対応など、税に関わる多くの業務を専門的にサポートしてくれます。
しかし、税理士の数は全国に7万人以上いると言われており、「誰に依頼すれば良いのか分からない」「紹介されたけど本当に信頼できる人なのか不安」という声も少なくありません。
この記事では、税理士を選ぶ際にチェックすべき「資格」や「実績」について詳しく解説します。自社に合った税理士を選ぶためのポイントを押さえ、長期的に信頼できるパートナーを見つける参考にしてください。
そもそも税理士の資格とは?
税理士になるには、国家資格である「税理士試験」に合格するか、一定の実務経験や他資格(弁護士、公認会計士)を有することが必要です。
税理士資格を取得するルートは以下の3つがあります:
- 税理士試験に合格
所得税法、法人税法など計5科目の合格が必要。最も一般的な取得方法です。 - 弁護士資格を持つ者
税務に関する専門知識を証明する必要はありますが、試験なしで税理士登録が可能。 - 公認会計士資格を持つ者
財務諸表や企業会計に精通しており、税理士業務も対応可能です。
このように、税理士のバックグラウンドはさまざまで、それぞれ得意分野が異なることがあります。
チェックすべき資格やスキルのポイント
1. 税理士登録番号の有無を確認する
税理士として正式に登録しているかどうかは、日本税理士会連合会の「税理士検索システム」で確認できます。無資格で「税務相談」や「記帳代行」を行っているケースもあるため、必ず確認しましょう。
税理士登録番号が公開されていない、もしくは確認できない場合は注意が必要です。
2. 得意分野を確認する
税理士と一口に言っても、すべての業種・規模の会社に精通しているわけではありません。以下のように、税理士ごとに得意分野があります:
- 飲食業、美容業、建設業など特定業種に強い
- スタートアップ・フリーランスなど小規模事業者向けが得意
- 節税・相続・事業承継に詳しい
- 医療法人や不動産投資家向けなどニッチ領域に特化している
自社の業種や課題とマッチする税理士を選ぶことで、より実践的なアドバイスが期待できます。
3. IT・クラウド会計への対応力
近年ではfreeeやマネーフォワード、弥生オンラインなどのクラウド会計ソフトを活用する企業が増えています。そのため、これらのツールへの対応力は非常に重要です。
- クラウド会計に精通しているか
- 電子帳簿保存法やインボイス制度に対応できるか
- デジタルツールでの連携・相談体制が整っているか
などをチェックすることで、業務の効率化やリモートでのやり取りがスムーズに進められます。
チェックすべき「実績」とは?
1. これまでの対応実績・顧問先の数
過去にどれくらいの企業・個人と契約してきたのか、その実績の数や規模はひとつの判断材料になります。特に以下の点を確認しましょう:
- 顧問先の業種と自社の業種が近いか
- 顧問先の企業規模(個人~中小企業~上場企業)
- 開業から何年か(経験年数)
数だけでなく、「自社と似たフェーズの顧客にどう貢献してきたか?」という視点で判断することが大切です。
2. 節税・資金調達・事業承継の提案力
単に「帳簿をつけて申告する」だけでなく、経営に役立つ提案ができるかどうかも重要なポイントです。たとえば:
- 節税のアイデアを定期的に提案してくれるか
- 補助金・助成金・融資に関するサポート経験があるか
- 将来的な事業承継や相続にも対応できるか
これらは企業の成長段階で必ず直面するテーマです。提案力がある税理士は、単なる外注先ではなく「経営パートナー」として活躍してくれます。
3. 税務調査対応の経験
税務調査の立ち会いや事前準備、指摘事項への対応経験があるかも重要です。税務調査は事業規模にかかわらず突然入る可能性があるため、経験豊富な税理士が心強い味方になります。
過去に税務調査の対応件数がどの程度あるか、指摘事項の内容や結果について具体的な話ができる税理士は信頼性が高いといえます。
実際に面談・相談する際のチェックポイント
実際に税理士と面談する際には、次のような観点で評価すると失敗しにくくなります。
- 質問に対して専門用語をかみ砕いて説明してくれるか
- こちらの話や希望をしっかりヒアリングしてくれるか
- 料金体系が明確であるか(記帳代行、決算料、相談料など)
- 応対のスピードや誠実さ(メールや電話への返信)
- 顧問契約以外でも柔軟に対応してくれるか(単発、相続など)
特に「相性」や「コミュニケーションのしやすさ」は、数字では測れない重要な要素です。気になる点があれば、複数の税理士と面談し、比較することをおすすめします。
まとめ
税理士を選ぶ際には、単に「資格があるから安心」ではなく、「自社の業種や課題に合った実績・スキルを持っているか」「信頼関係を築ける相手か」をしっかり見極めることが大切です。
チェックすべきポイントは以下の通りです:
- 税理士登録の有無とバックグラウンド(試験・会計士・弁護士)
- 得意分野・業種への対応経験
- クラウド会計など最新ツールへの対応力
- 節税・資金調達・税務調査への提案力・実績
- コミュニケーション力・料金体系の明確さ
「税務の専門家」ではありますが、実際には「経営パートナー」として関わる場面が多くなります。長期的な付き合いを見据えて、信頼できる税理士を選びましょう。