事業の税務や会計を任せる税理士は、経営のパートナーとも言える存在です。税理士との良好なコミュニケーションが、スムーズな業務進行や適切なアドバイス、そして経営課題の早期解決につながります。しかし、「税理士とはどう話せばいいかわからない」「質問したいことがうまく伝わらない」と悩む経営者も少なくありません。そこで今回は、税理士と上手にコミュニケーションをとるためのコツを詳しく解説します。
1. 事前準備をしっかりする
税理士に相談するときは、事前に相談内容や質問事項を整理しておくことが重要です。漠然と「税務のことがわからないので教えてほしい」というだけでは、話が長引いたり、必要な情報が伝わらなかったりします。
具体的には、
- 今困っていることや課題を箇条書きにする
- 関連する資料や数字をまとめておく
- いつまでに解決したいか期限を考えておく
こうした準備をすることで、税理士も状況を把握しやすく、的確なアドバイスを受けやすくなります。
2. わからないことは素直に伝える
税務や会計は専門用語も多く、初めての人にとっては難しい分野です。分からないことを我慢したり、曖昧なまま話を進めると、誤解やミスにつながる恐れがあります。
「ここがよく理解できていない」「具体的にどういうことですか?」と素直に質問することが大切です。
税理士は専門家であると同時に、説明役でもあります。遠慮せずに何度でも聞き返しましょう。
3. 定期的にコミュニケーションの機会を持つ
税理士と話すタイミングは決算前や確定申告時だけ、というケースがよくありますが、それでは経営の変化に迅速に対応できません。
毎月または四半期ごとに定期的に打ち合わせを設定し、経営状況や税務の進捗を共有することをおすすめします。
こうすることで、税理士も経営状況を把握しやすくなり、節税対策や資金繰りのアドバイスもタイムリーに受けられます。
4. 具体的な数字や資料を共有する
税理士は数字を基に判断やアドバイスを行います。
売上や経費の明細、帳簿や銀行取引の記録など、具体的な資料を共有することがコミュニケーションの質を高めます。
クラウド会計ソフトを活用すれば、税理士とリアルタイムでデータを共有でき、質問や確認もスムーズです。
5. 目的や希望を明確に伝える
「節税したい」「資金繰りを改善したい」「融資を受けたい」など、税理士に期待する役割や目標は人それぞれです。
自分の目的や希望を明確に伝えることで、税理士も最適な提案やサポートをしやすくなります。
抽象的な依頼よりも、具体的な要望を伝えたほうが的確な解決策が得られます。
6. フィードバックや感謝の気持ちを伝える
税理士も人間です。
良い対応やアドバイスをもらったときは感謝の言葉を伝え、改善点があれば率直にフィードバックしましょう。
良好な信頼関係が築けると、双方がより気持ちよく仕事でき、結果的に質の高いサービスにつながります。
7. 契約内容や料金についても遠慮せず確認する
税理士との契約は料金やサービス内容が多様で、わかりにくいこともあります。
契約前後に不明点や費用の内訳、追加料金の有無などをしっかり確認し、納得できるまで質問しましょう。
料金面の認識違いを防ぐことで、トラブルや不信感を避けられます。
8. 何でも税理士に相談しすぎるのは避ける
税理士は税務や会計の専門家ですが、すべての経営課題の解決策を持っているわけではありません。
特に法律的なトラブルや労務問題、経営戦略などは専門の弁護士やコンサルタントのほうが適任です。
税理士の専門範囲を理解し、相談内容を適切に振り分けることもコミュニケーションのコツです。
まとめ
税理士とのコミュニケーションは、ただ報告や依頼をするだけでなく、双方の信頼関係を築き、経営をより良くしていくための大切な手段です。
事前準備の徹底、わかりやすい伝え方、定期的な連絡、具体的な資料共有、明確な目的の共有、感謝とフィードバック、契約内容の確認、専門分野の理解を意識すれば、税理士との対話は格段にスムーズになります。
特に創業間もない経営者は、税務や会計の不安が多いため、遠慮せずに税理士に質問し、良好なコミュニケーションを築くことが事業成功の大きな支えとなります。
税理士は単なる数字の管理者ではなく、あなたのビジネスの未来をともに考えるパートナーです。ぜひ積極的に話し合い、信頼関係を深めていきましょう。