税理士を変更したい!スムーズな乗り換えのコツ

税理士との関係は、事業を円滑に運営するうえで非常に重要なパートナーシップです。
しかし、すべての税理士が自分の事業スタイルや価値観に合うとは限りません。中には「対応が遅い」「相談しにくい」「コストに見合っていない」などの理由から、別の税理士に切り替えたいと感じている方も多いのではないでしょうか。

今回は、そんな税理士変更を検討している方に向けて、スムーズにトラブルなく乗り換えるためのポイントを解説します。

税理士を変更したくなる主な理由

まず、実際にどのような理由で税理士変更を考える人が多いのか、主なケースを紹介します。

1. 対応が遅い・連絡がつきにくい
レスポンスが遅く、質問に対して的確な答えが得られない。税務署からの通知にも迅速に対応してくれない、といった不満です。

2. 顧問料に対してサービスが見合っていない
月額顧問料を支払っているのに、ほとんど面談やアドバイスがなく、決算期に少しやりとりするだけ…というケースも。

3. 節税提案や経営支援がない
会計処理だけでなく、事業の状況に応じたアドバイスや節税提案が欲しいのに、それが得られないという理由で乗り換えを希望する経営者も増えています。

4. 税理士との相性が悪い
人間的な相性やコミュニケーションスタイルが合わない、相談しにくい雰囲気などが原因で関係性にストレスを感じてしまうこともあります。

税理士の変更はいつでも可能

税理士との契約は、法律上「いつでも解約可能」です。顧問契約書に期間が記載されていたとしても、たいていは双方の合意で随時解約できる契約になっています。

ただし、トラブルを避けるためには、変更のタイミングと手順に注意を払う必要があります。

スムーズな乗り換えのためのステップ

税理士の変更を円滑に進めるためには、以下のステップを順番に進めていくのが理想的です。

1. 変更時期を見極める

税理士の変更に適したタイミングは、事業の状況や会計年度によって異なりますが、基本的には以下の2つの時期が無難です。

  • 決算や確定申告の完了直後
  • 会計年度のスタート直後(4月や新事業年度)

決算直前や確定申告直前に変更してしまうと、引き継ぎ作業が煩雑になり、新しい税理士側も対応が難しくなることがあります。

なるべく処理のキリが良い時点で切り替えるようにしましょう。

2. 新しい税理士を先に決めておく

現在の税理士に解約を伝える前に、次にお願いする税理士を確保しておくのがポイントです。
新しい税理士が決まっていない状態で先に契約を終了させると、空白期間が生まれて対応が遅れたり、書類管理が混乱するリスクがあります。

新しい税理士候補には、現在の状況や引き継ぎ資料について事前に相談し、スムーズな受け入れが可能か確認しておきましょう。

3. 現在の税理士に丁寧に解約を伝える

税理士との契約終了を伝える際は、感情的にならず丁寧な言葉を選ぶのが大切です。
基本的には文書かメールで伝え、その後電話や面談で詳細を伝えるのが望ましい流れです。

伝える際の例文としては、

「業務内容の見直しを進めていく中で、今後は別の形で税務支援を受けたいと考えるようになりました。大変お世話になりましたが、○月をもって契約を終了させていただきたく、ご理解のほどよろしくお願いいたします。」

といった表現が角を立てずに済みます。

4. 引き継ぎ資料を整理する

税理士を変更する際には、以下のような資料の引き継ぎが必要になります。

  • 総勘定元帳・仕訳帳・試算表
  • 決算書・申告書(法人税、消費税、所得税など)
  • 税務署への届出書類
  • 源泉徴収簿・年末調整資料
  • 会計ソフトのデータ(CSVやPDF)

これらを新しい税理士にスムーズに渡せるよう、現在の税理士に依頼し、データ形式なども確認しておきましょう。

5. 新しい税理士と今後の方針を明確にしておく

乗り換え後の税理士には、以下の点について早めに話し合っておくことが重要です。

  • 顧問契約の範囲(記帳代行の有無、決算対応など)
  • 月額報酬や決算料の確認
  • 使用する会計ソフトの互換性
  • 節税や経営アドバイスの頻度・スタイル

乗り換えの目的が「今の税理士に不満がある」という場合、その不満を再び繰り返さないよう、自分に合った税理士像を明確にしておくことが成功のカギになります。

税理士を変更する際の注意点

変更自体は自由にできるものの、以下の点には注意が必要です。

1. 解約月の報酬の扱い
月額顧問料の締め日や支払いルールを確認しておきましょう。途中月で解約する場合でも、月額全額が請求されるケースもあります。

2. 税務署への届出書類は誰が提出するか
法人の場合、税理士を変更したら「税理士変更届出書」の提出が必要です。誰が提出するか、新しい税理士に任せられるかを確認しておきましょう。

3. 納税スケジュールのズレに注意
乗り換え時に引き継ぎが遅れると、納税書類の提出が遅れるリスクがあります。引き継ぎのスケジュールを明確にして、新旧税理士の間で連携を図りましょう。

より良いパートナーシップのために

税理士を乗り換えることは、よりよい経営支援を得るための前向きな選択肢です。
「こんなことで変更していいのか」と迷う方も多いですが、納得いかないまま同じ関係を続ける方が、事業にとってはマイナスになりがちです。

重要なのは、自分にとって何が必要なのかを見極め、信頼できるパートナーを見つけることです。
比較サイトなどを活用し、複数の税理士を比較検討することで、自分のスタイルに合った税理士に出会える可能性が高まります。