決算が近づくと「そろそろ税理士に相談しないと…」と思う経営者の方も多いのではないでしょうか?
でも、ただ数字を提出するだけでは不十分。決算前の打ち合わせをどれだけ有効に活用できるかで、税額、資金繰り、来期の経営計画に大きな差が出ます。
本記事では、決算前に税理士と打ち合わせしておくべき3つの重要ポイントをわかりやすく解説します。
「節税できるタイミングを逃した…」とならないよう、今すぐ確認しておきましょう!
1. 節税対策の最終確認:今期中にできることを見極める
決算前の最重要項目の一つが「節税対策の最終確認」です。
節税は「決算後」では遅すぎることがほとんど。今期の着地を見ながら“今できる節税”を具体的に実行できるかどうかがカギになります。
▶ 具体的に相談すべき内容例:
- 減価償却費の計上タイミング(早める/遅らせる)
- 必要経費の前倒し支出の可否(広告費、備品、消耗品など)
- 役員報酬やボーナスの調整
- 生命保険など節税型保険の活用(要注意)
- 少額減価償却資産の活用(10万円未満・30万円未満)
- 決算賞与の活用(支給条件と期末前の手続き)
- 寄付金や交際費の扱い
これらは「節税になるからやる」ではなく、税務リスクやキャッシュフローも加味して判断する必要があります。
税理士と一緒に「どれが最も合理的で、自社に合っているか」を見極めましょう。
2. 決算予測と納税額のシミュレーション:キャッシュの準備が必要
次に重要なのが、今期の決算予測(着地見込み)と納税額のシミュレーションです。
ここを怠ると、納税時期になってから「こんなに税金がかかるとは…」と資金ショートの危険が出てしまいます。
▶ チェックすべき内容:
- 今期の売上・経費・利益の見通し(試算表)
- 法人税・消費税・住民税などの納税見込み
- 納税時期と資金繰りのタイミング
- 節税対策による納税額の変動シナリオ
- 消費税の簡易課税 or 原則課税の選択確認(要届出)
このタイミングで税理士と数字をすり合わせておくことで、
「資金繰りが苦しくなる前に、融資を検討する」
「納税用口座に分けて準備しておく」
「無駄な節税より、利益を出して信用を上げる」
など、経営判断がしやすくなります。
また、黒字が見込まれる場合は、納税に備えた“利益確定”の判断も必要です。
(例:売掛金の計上時期や費用の繰延など)
3. 翌期の経営計画と顧問契約内容の見直し
決算前の打ち合わせは、今期のことだけでなく来期以降の体制を整えるための重要なタイミングでもあります。
▶ 見直したいポイント:
① 経営計画・数値目標の相談
- 「来期の売上・利益目標の想定」
- 「設備投資のタイミング」
- 「資金調達・借入予定と返済計画」
- 「人員計画や役員報酬の見直し」
中小企業や個人事業主の場合、数字をベースにした計画づくりが苦手なケースも多いため、税理士にシンプルな事業計画書の作成支援を依頼するのも有効です。
② 顧問契約・サポート内容の見直し
- 現状の顧問契約でどこまでサポートしてもらえているか?
- 記帳代行や給与計算などを追加すべきか?
- クラウド会計導入支援など新しいサービスへの切り替え
- 税理士との連絡頻度・レスポンスの不満がないか
「なんとなく惰性で続けている税理士との関係」を見直すチャンスでもあります。
特に業務が拡大したり、クラウド化を進めたい場合は税理士の得意分野や対応力も確認しておくことが重要です。
よくある失敗例:こんな税理士との決算打ち合わせはNG!
最後に、決算前の打ち合わせでよくある失敗パターンを紹介します。
❌「相談するのが遅かった…」
→ 節税対策や納税準備が間に合わず、余計な出費が発生。
❌「数字の話だけで終わった」
→ 翌期の計画や将来の方向性を見据えた相談ができない。
❌「税理士の説明が難しくて理解できない」
→ 納得せずに判断した結果、思わぬ税務リスクに。
こうした事態を防ぐには、「相談したいテーマを事前にまとめておく」ことが非常に効果的です。
また、税理士の対応に不満がある場合は、決算前後で他の税理士に相談・乗り換えを検討することも選択肢の一つです。
まとめ|決算前の打ち合わせは“税理士活用の真価が問われる”タイミング
決算前の数ヶ月は、経営者にとって最も重要な局面のひとつです。
税理士との打ち合わせを有効に活用することで、
- 節税のチャンスを逃さない
- 納税・資金繰りへの備えが万全になる
- 来期以降の経営計画に自信が持てる
という大きなメリットが得られます。
税理士は「申告書を作ってくれる人」ではなく、“経営を数字で支えてくれるパートナー”です。
だからこそ、決算前こそ積極的に活用し、自社の成長につなげていきましょう。